従業員に退職金の代わりに社用車を無償で引き渡した場合のその課税関係は?
- 2026年7月1日
- 会計
社用車を退職金の代わりに無償で譲渡する場合、税務上は「車両の時価(市場価値)」を基準に課税関係が発生します。
1. 従業員(受取側)の課税
退職所得としての課税: 引渡し時の車両の時価が退職金の額面とみなされます。
所得税・住民税: 退職所得として計算されますが、現物支給のため、会社は退職者から税額分を別途徴収するか、本人が確定申告で納付する必要があります。
社会保険料: 退職所得扱いであれば、原則として社会保険料は発生しません。
2. 法人(支給側)の課税
法人税(譲渡損益): 車両の「時価」と「帳簿価額(未償却残高)」の差額が、売却損または売却益として計上されます。
時価 > 帳簿価額の場合:譲渡益が発生します。
時価 < 帳簿価額の場合:譲渡損が発生します。
法人税(損金算入): 車両の時価相当額が「退職金」として損金(経費)に算入されます。
消費税: 退職金の支払いとして時価(対価)をもって資産を譲渡したとみなされる(代物弁済)ため、車両の譲渡は課税売上となります。
ただし、あらかじめ就業規則や退職金規程で「現物支給」が明記されている場合など、無償譲渡(贈与)とみなされれば非課税となるケースもありますが、実務上は慎重な判断が必要です。
注意点
時価の算定: 不当に低い価格での譲渡は、給与課税の指摘を受けるリスクがあるため、中古車査定などの客観的なデータに基づき算出する必要があります。
労働基準法との兼ね合い: 労働基準法では賃金の「通貨払いの原則」があるため、退職金の現物支給を行うには、労働組合との協定や就業規則での規定が求められます。